★ライナー・マリア・リルケ(Rainer Maria Rilke、1875 - 1926年)は、プラハ生まれ。オーストリアの詩人、作家。シュテファン・ゲオルゲ(Stefan Anton George)、フーゴ・フォン・ホーフマンスタール(Hugo Laurenz August Hofmann von Hofmannsthal)とともに時代を代表するドイツ語詩人として知られる。プラハに生まれ、プラハ大学、ミュンヘン大学などに学び、早くから詩を発表し始める。当初は甘美な旋律をもつ恋愛抒情詩を発表していたが、ロシアへの旅行における精神的な経験を経て『形象詩集』、『時祷詩集』で独自の言語表現へと歩みだした。1902年よりオーギュスト・ロダンとの交流を通じて彼の芸術観に深い感銘を受け、その影響から言語を通じて手探りで対象に迫ろうとする「事物詩」を収めた『新詩集』を発表、それとともにパリでの生活を基に都会小説の先駆『マルテの手記』を執筆する。第1次大戦を苦悩のうちに過ごした後スイスに居を移し、ここでヴァレリーの詩に親しみながら晩年の大作『ドゥイノの悲歌』、『オルフォイスへのソネット』を完成させた。『ロダン論』のほか、自身の芸術観や美術への造詣を示す多数の書簡もよく知られている。
同、小磯仁(こいそ まさし)は1938(昭和13)年、館山市生まれ。文部省図書館職員養成所を経て慶應義塾大学文学部卒業、同大学院修士課程修了。ドイツ研究振興協会(DFG; Deutsche Forschungsgemeinschaft)共同研究員、ヴュルツブルク大学専任講師などを経て、山梨大学教授(のち名誉教授)。専門はドイツ文学。ドイツの詩人・ヘルダリーン研究の第一人者。