| ★商品説明★ | 阿井渉介著 「警視庁捜査一課事件簿1~4」 講談社文庫 「まだらの蛇の殺人 警視庁捜査一課事件簿1」 1998年 7月 文庫初版 「風神雷神の殺人 警視庁捜査一課事件簿2」 1999年 11月 文庫初版 「雪花嫁の殺人 警視庁捜査一課事件簿3」 2002年 1月 文庫初版 「生首岬の殺人 警視庁捜査一課事件簿4」 2009年 1月 文庫初版 定価 638円~695円+税 369頁~409頁 |
| ★著者略歴★ | 1941年、北京生まれ。早稲田大学文学部卒業。シナリオライターとして「特捜最前線」など約1000本のシナリオを手がける。1980年、小説現代新人賞を受賞、以後小説に専念する。1988年「北列車連殺行」を皮切りに10冊に及ぶ奇想天外な列車シリーズを相次いで発表、ミステリー界の注目を浴びる。 |
| ★作品内容★ | 警視庁捜査一課の若き期待の刑事・堀とベテランだが賭博好きのグータラ刑事・菱谷コンビの事件簿。捜査能力は抜群なのだが。賭け事に狂って家庭崩壊させた刑事と。その娘に恋した若い刑事のコンビ物。 <まだらの蛇の殺人> このタイトルを聞いてまず思い出すのは、ホームズの”まだらの紐”である。それと同じように中から鍵の掛けられたマンションの密室で、悲鳴とともに”まだらの蛇が”と言って死んだ女がいた。女性は宮城の大地主の娘で、首筋にかまれたような傷と体内から”エラブウミヘビ”の毒が検出された。この大地主の家では、数か月前に蝮にかまれて死んだ3男がいるし、800年前の蛇の祟りの伝説も残っている。そしてその葬式の夜、次男がまたエラブウミヘビの毒で死に、どう考えても連続殺人らしいとなる。堀と菱谷が、宮城にまで言って操作するが、この家には認知されただけでも13人の子供がいて、病気で死んだ二人のほかにも、自殺で死んだ娘もいる。さらに関係者が次々にころっされたり、能面をかぶった不審な人物が目撃されたり。”まだら蛇”の謎を掘りと菱谷が解く。 <風神雷神の殺人> 風神雷神の助けでお前を殺すという脅迫状がある主婦に送られてきて、鎌で斬られて殺される。事件を担当した堀は、その数日前にその主婦の自宅周辺で起こった中学生の襲撃事件にも遭遇していた。それはいじめが関わる問題であった。ともかく、脅迫状に記されてい亜二人の人物は主婦の中学時代の同級生で、二人との列車事故に関わって死んでいた。この3件は関りがあるのか。菱谷は関りがあるなら事件はまだ起こるという。事実また静岡で不可解な殺人があり、そこにも脅迫状が届いていた。一見関係性が見いだせないまま模倣犯とみられる脅迫状も数多く発見されるが、その中の4件は確かに同じ犯人が出したものと思われる。年齢も住所バラバラな彼らに関係があるのか。堀は各地に飛んで、証言を拾う。菱谷も同行するが主に賭博の方に興味がありそうに見えるが、ベテランらしい鋭い視点から犯人像が浮かび上がる。古典的な推理小説だが、いじめ被害に関わる見方は見逃せない。 <雪花嫁の殺人> 雪の密室。雪の降り積もる広場の真ん中に死体が一つ。被害者以外の足跡はない。凶器を飛ばす、死体を飛ばす、第一発見者が巧妙に足跡に工夫を、足跡を隠す・鳴らす・溶かすなどいろいろなトリックが考案されている。滑車とロープを使った物はあまりお勧めできない。トリックの盟主の著者がどんなトリックを編み出すか。 サッカーグラウンドの真ん中で、政財界のフィクサーの長男が殺されていた。足跡はそこに向かう物一つだけ、全やその上空を飛んだヘリコプターからは雪をかぶった花嫁のようなものが認められている。その男の悪評はすさまじいが、親の権力もすさまじい。越後湯沢の別荘に行った関係者だが、そこでもまた一人殺され、次男は三国峠の山道で自動車事故で死んだ。その峠道では以前から雪女のうわさが流れ、別荘でも雪女を見たという証言もある。さらに別荘に来ていたもう一人も殺され、一族に対する恨みの先が濃くなる。ここでは6年前に、峠の山道でスキーバスの事故が起こり多くの物が犠牲になっている。その関係者の恨みによる犯行か。 <生首岬の殺人> 女性銀行員が誘拐されるという事件が起こった。同時に生首を犬が咥えていたという事件も起こる。どうせがせネタと、堀と菱谷に任せられるが、二つの事件がつながった。生首は、誘拐事件に関連した社長の物だったのだ。誘拐犯は、倒産間際の零細企業に融資を求めていたのだが、その1っ社の社長の物だった。そして調べてゆくうちに、融資を求められていた会社にはある高利貸しが関係していた。女子銀行員と、高利貸しの関係を調べ、ついに女子銀行員が監禁されていた場所を突き止める。複雑な事件と思われたがこれで事件は解決した。しかし著者はさらにトリックを仕掛けていた。著者らしい、面白いトリック。堀と菱谷の感情の揺らぎも面白い。 |
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